キジハタ(アコウ)をワームで狙う際の釣り方やアクションの操作方法について、図解を交えて詳しく解説します。
また、釣果を大きく左右するポイントの選び方やキャストする位置についても、実釣経験をもとにまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
鹿児島生まれ、地元の漁師家系で育ち、釣りは幼い頃からの趣味です。プロではありませんが、家を出てわずか30秒の場所に、父の船が係留されている港があり、そこで多くの時間を過ごしてきました。そんな環境で長年、海を見て、釣りを続けてきた経験をもとに、自分なりの釣り方やコツをお伝えしています。あくまで一つの参考として、気軽に読んでいただければ嬉しいです。
キジハタをワームで釣るアクションやローテーションの考え方

ここでは、ホッグ系やクロー系といった甲殻類ワームをメインに使用し、キジハタを狙うためのアクションの付け方や、状況に応じた釣り方について詳しく解説します。
また反応がない場合の探り方やワームやシンカーのローテーションの流れも重要なのでチェックしてください。
アクションのやり方
キジハタ狙いでは小魚系のシャッドテールを使った釣り方もありますが、どちらかといえば、甲殻類系ワームをボトムまで落とし、『リフト&フォール』や『ボトムバンピング』で攻めたほうがヒット率は高い傾向にあります。
リフト&フォール(高活性時やマズメ時)

着底したら余分な糸ふけをリールで回収して、すぐさま同じく竿をリフトして着底まで待つというやり方です。
ボトムバンピング(低活性時や夜)

ボトムバンピングは竿をちょんちょんちょん、と小刻みに跳ねさせて着底までテンションフォールもしくは竿をゆっくりと倒しながら着底させます。
ボトムズル引き(日中・低活性時や夜)

砂地に岩が点在するような場所であれば、ゆっくり底を感じる状態のスピードでズル引きを行い、岩などの引っ掛かりを探知したら軽く竿をシェイクして根を交わし再びズル引きを行う誘い方です。
ボトムバンピングや根をかわす操作はロッドを振るというよりは手首の動きで軽く穂先を揺らすようなイメージです。
ボトムバンピングはロッドの穂先を跳ねさせるようなアクション


日中の低活性時でもボトムバンピングがもっとも有効で移動距離も抑えられるので、一番魚がヒットする割合が高いです。

これはスピニングタックルでもベイトタックルでもアクション操作は同じです。
朝マヅメなどキジハタの活性が高い時間帯にはリフト&フォールが効果的ですが、日中や夜など活性が低く動きが鈍い時間帯には、ボトムバンピングでじっくり攻めるのが有効です。
フォール時はロッドをなるべく倒して待つ
キジハタをはじめとするハタ系の魚は、特に上あごが硬いため、アタリがあった後にしっかりとフッキングしないと、フックが浅く掛かってバラす原因になりやすいです。

ロッドを高い位置で構えたままフォールでアタリを待っていると、アワセのストロークが短くなりがちで、キジハタの硬い口にしっかりフッキングしにくくなることがあります。

フォール中にロッドを低めの角度で構えておくことで、フッキング時に十分なストロークを確保でき、キジハタの硬い上あごにもフックがしっかり貫通しやすくなります。
もちろん、フッキング前にはリールを巻いてラインスラック(糸ふけ)をしっかり取る必要がありますが、それでもストロークが短いとフックが浅掛かりになってしまうことがあります。

確実にフッキングを決められるかどうかは非常に重要な要素で、短い時合の中で訪れるわずかなアタリを“逃すか”それとも“ものにするか”で、その日の釣果は大きく変わってきます。

そのため、フォール中のアタリに備える際は、ラインのたるみ(糸ふけ)も計算に入れたうえで、しっかりとロッドをあおれるだけのストロークを確保しておくことが大切です。
例えば9ftを超えるロングロッドであれば、その長さを活かしてフッキング時に十分なストロークを確保しやすくなります。ただし、浅場では操作性が低下するなどのデメリットもあるため、使用場所に応じた選択が重要です。


フォール時のロッドの角度を常に意識していれば、少ないチャンスをものにしキジハタをゲットする近道となるので、色々試してみることが大事です。
流れの上流へキャストする
何度かキャストして回収を繰り返していると、仕掛けが投入位置から左右どちらかに流されて戻ってくるのがわかるはずです。その流れを確認したうえで、上流側に向かってキャストし、流れに逆らう形で探っていくことが重要です。

例として満干による潮が動いている方向が左から右であれば、左側に投げてから流れに乗せて探っていくようにするとボトム感知もしやすいです。
そのため、潮下に向かってキャストしても、キジハタが潮上を向いて待ち構えているため、ワームの存在に気づかれにくく、バイトに持ち込むことが難しくなります。

この考え方はロックフィッシュに限らず、ルアーフィッシング全般に共通する考え方です。流れの向きをしっかり把握し、上流側からルアーを流すように誘うことが、釣果を伸ばすうえで非常に重要になります。
立ち位置からポイントを細かく探る
ルアー釣りの基本では立ち位置から扇状に探っていくという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
イカや青物のような回遊性の高い魚とは異なり、キジハタをはじめとする根魚は行動範囲が狭いため、他の釣り以上に細かく扇状にキャストして丁寧に探ることが重要です。


また、キジハタが潜むボトムの形状によっては、わずか数センチ横にずらすだけでヒットポイントに当たることも少なくありません。根魚狙いでは、こうした微妙なズレが釣果を左右するため、細かく丁寧にポイントを探ることが基本です。
ボトムがゴツゴツした場所を重点的に探る

ボトムへの着底で色々探っていると「ゴツゴツ」「ガガガ」と行ったように、底質の違いを感じるかと思います。
ボトムの底質・感触 (シンカーの着底時や竿先で把握する) | |
---|---|
出現率が高く狙うべき場所 | コツコツ・ガガガ・ジョリジョリ |
出現率が期待できない場所 | ストン・フワッ |

今までの実践の経験から「いかにも根掛かりそうだな・・・」という感触を感じるポイントを中心に探っていくことがキジハタへ出会う確率が高くなります。
シンカーの重さは状況に応じて変える

アクションでワームを持ち上げた直後にすぐ着底してしまう場合は、シンカーが重すぎてフォールスピードが速くなりすぎている可能性があります。その結果、ゆっくりと見せる誘いができず、根掛かりのリスクも高まってしまいます。
場所や潮の強さにもよりますが、アクション後の着底までにある程度の滞空時間があり、なおかつボトムの感触がギリギリ伝わる程度の重さに調整することで、釣果につながりやすくなります。
水中の中のシンカーの重量イメージ
フォールから着底までのイメージ | |
---|---|
ダメな例 | ヒュー(フォール)▶ ストン(着底) ※アクションから1秒程度ですぐ着底する |
良い例 | ふわ~(フォール)▶・・・ぽこorフワっ(着底) ※アクションから2秒以上でゆっくり着底する |

潮の流れが効いている場所であれば着底までワンテンポ置いてゆっくり誘えますが、そういう状況でないと判断した場合はなるべく軽くして調整することが大事です。
ワームのローテンションも細かく行う

キジハタはボトム付近をゆっくり探っていく釣りがメインとなりますが、使っていくワームのローテーションはこまめに行なっていくのが良いです。
そのため時合が短いハタ相手に1つのカラー+シルエットで通していくよりも複数の色+複数のシルエットで探っていくほうが釣果につながる確率は格段に上がります。


1つ目のワームと色で反応が食わなければ、次にワームを変えた瞬間に食ってくるという経験は何度もしているので、その日によってキジハタが反応してくれるワームが異なるというのは間違いありません。
- 色を変える
- シルエットを変える(別のメーカーワーム)
- シンカーの重量を変える
- アクション方法を変える
シンカーの重さやアクション方法を変えるまでにワームのローテーションを先に行っていくのが効果的なことが多いので、これらを念頭に入れておいた上でキジハタを見つけていくのが良いです。
キジハタにおすすめのワーム
私が普段から使っているキジハタにおすすめの主要のワーム一覧です。

上記のワームでカラーが数種類用意しておき、実釣時にはそこにキジハタ居れば引き出せる信頼しているワーム軍です。

キジハタをワームで釣るならポイント選びと時間帯が最重要

キジハタはアカハタやオオモンハタに比べると地域によってはかなりレアなターゲットでもあるため、場所(ポイント)選びがかなり重要です。
産卵期である6月〜夏終わりにかけては特に沖から手前の岩礁地帯まで産卵のために寄ってきますが、その場所はやはり岩場や隠れられるポイントが多いです。
- 底質がゴツゴツして根掛かりしやすい
- 沖から急に手前に駆け上がる場所がある
- 沖が浅く手前にかけて急に深く掘れている
- 砂地と岩礁が点在している

地形と海底に何があるかをアングラー側は潜って確認することは困難なので、シンカーで感じる振動や糸の出方、ロッドに伝わる情報でこれらを把握していき「キジハタが居そうな場所をイメージ」することが大事です。
水深が深く岩場をメインに
良型のキジハタをショアから狙うなら水深は5m以上、できれば10m近くはあるのが望ましく底がゴツゴツしている岩場・藻場であればなおさら良いです。
もちろん奥が砂地であっても手前に岩が点在するような場所、堤防であれば敷石やシモリがあればチャンスがあります。


私の感覚として10gのバレットシンカーの着底ま20〜30秒以上かかる深場で、アクション時になかなかの抵抗を感じる(水圧がかかる)場所、そしてボトムがゴツゴツ(障害物)を感じれば体感的にいい感じです。
「水深がある」+「流れや水圧が効いていて抵抗がある」+「ゴツゴツしている」という条件を満たしていればその場所に潜んでいる可能性が高いのでポイント選びの参考にしてみてください。
潮が効いているポイントを中心に攻める
キジハタが潜んでいそうな場所を選定したら、流れが効いているポイントを重点に狙っていきましょう。

投げるポイントを少しずらすと潮が効いている場所とそうでない場所が存在するのでその違いをいち早く察知することがキジハタへの近道です。
流れの強弱はワームをアクションで誘っている時にロッドに伝わる感覚である程度わかります。
- 「重みが乗っている感覚」=「流れが強く効いている」
- 「重みがなくスカスカ」=「流れが効いて無い」
という判断を行い、流れが強く効いているポイントを重点的に狙いましょう。
日が落ちてからが最も狙い目

また特にキジハタは明るい時間帯よりは夜に活動しやすいため、夜に釣れるパターンが特に多いです。

キジハタが本格的に捕食を始めるのは、やはり暗くなってから1〜2時間ほど経過したタイミングではないかと感じています。ただし、地域差もあるため、日中でも釣果が出やすい九州などを除けば、この時間帯は一つの目安として参考になると思います。
朝マヅメもおすすめ

多くの魚種にとって朝マヅメは定番の好機ですが、アカハタやオオモンハタに比べて、キジハタは暗い時間帯のほうが反応が良い傾向があります。そのため、朝に釣行する場合は、朝マヅメ直前のまだ暗い時間帯(AM3時頃〜)を狙うのが効果的です。

キジハタに出会える確率を高めたいのであれば、夕マヅメで日が落ちた直後から深夜〜朝方にかけての暗い時間帯を狙うのが、最も効率的なタイミングと言えるでしょう。
潮止まり前後の潮が動き出すタイミングが狙い目
何度もボトム付近を探っていると感覚がつかめてきますが、リフト&フォールやボトムバンピングの際に、いつもよりもルアーが重く感じられるタイミングは、潮がしっかり動いている証拠です。そのような状況に差しかかったら、集中して釣りに臨むことをおすすめします。


朝マヅメや夕マヅメのタイミングで釣行できない場合でも、ルアーに重みを感じる“潮が動き始めるタイミング”は狙い目です。特にこの変化は、潮止まり前後に起こることが多いため、その時間帯を意識すると効果的です。
キジハタをワームで釣るためのリグ(仕掛け)
キジハタのワームを使ったアクションはワームを装着する仕掛け(リグ)によっても大きく誘い方が変わってきます。
ここではキジハタをワームで釣るためのおすすめのリグ(仕掛け)について解説します。
①「テキサスリグ」
キジハタを狙うなら障害物のすり抜けが得意なテキサスリグで狙うのが定番となっています。

リーダー部分に「ストッパー(完全フリーならなくてもOK)」>「バレットシンカー」>「ビーズ」>「オフセットフック」の順に通して仕掛けを作ります。

ストッパーは必要ないかもしれませんが、フォールの時間を早くしたり流れが強くて直リグ仕様に後から変更したい場合などは調整ができるため、あったほうが便利です。
テキサスリグの利点は
- 「すり抜けしやすく根掛かりしづらい」
- 「フォールをゆっくり誘える」
という直リグやにはないメリットがありますが、逆にフックとシンカーまでに遊び部分のラインが出ているためフッキングを決めにくいデメリットもあります。


バレットシンカーは鉛タイプとタングステンタイプがありますが、「ボトム感知能力」「飛距離」「根掛かりのしにくさ」を考慮すると強度も高く小型化されているタングステンの方が有利です。

②「フリーリグ」
もう一つ目はワームをフリーにふわふわな状態で誘うことができるフリーリグです。

テキサスリグほどのすり抜け能力はありませんが、ボトムを中心に探るなら浮きにくく、ボトム感知と誘いが強いこのフリーリグもよく活用しています。

またこのフリーリグは状況に合わせて重さをチェンジしたい場合はバレットシンカータイプではなく、ワンタッチで交換できるルーディーズのロックゲームシンカーが非常におすすめ。
ロックゲームシンカー+#1/0オフセット+ハタ喰い蝦でキジハタ


TG(タングステン)タイプも販売中です


もちろんこのフリーリグの予算を更に抑えたいのであればナス型オモリなどでも使うことができ、その場合は誘導式にできるリグスベルなどを活用すると良いでしょう。

③「直リグ(ジカリグ)」

もしもテキサスリグを作るのが面倒な場合や、その場でエギングなどを実践中で素早くロックフィッシュ用の仕掛けに切り替えたい場合などはスナップで切り替えられる直リグタイプのフックがおすすめです。
「根魚玉(ISSEI)」

根魚玉は球体をベースに8面体のメッキ塗装でフラッシングによるアピールと底面がフラットになっていて岩を乗り越えやすく根掛かりを軽減してくれます。
またフックはワーム内に隠れるオフセットフック仕様となっていて、ボトムをネチネチ探っても普通のジグヘッドに比べると根掛かり率は相当少ないです。
根魚玉+ハタ喰い蝦でキジハタ

エギングついでにスナップによるワンタッチ交換もできるため、気軽でかつ根掛かりしにくいジグヘッドとして私も常にボックスに忍ばせています。
波止場・テトラ・地磯なら7〜14g+#1フックがおすすめ

ジョイントノッカー(がまかつ)

根魚玉に続いておすすめできる根掛かりしにくいリグとしてがまかつのジョイントノッカーは更にコスパが良いです。

また根魚玉に比べてもプライヤーを使わずにワンタッチでオフセットフックも交換でき、一般的に使われるヨコアイのオフセットフックで気軽にフックサイズを交換できるのも良い点です。



もしも直リグオンリーで実践したいならボトム着底がギリギリ取れる軽いシンカーのジグヘッドを使い少しでもゆっくりフォールさせられる重要を選ぶ用にしましょう。
オフセットフックは#1〜2/0までがおすすめ

オフセットフックはワームのサイズによって変更する必要がありますが、甲殻類系の3インチサイズをベースとしたワームを使うなら#1/0〜#2/0のフックサイズがおすすめです。
フックの太さが細くて強い+安いカツイチのオフセットフックがおすすめ

ワームを再利用するなら次は太めのオフセットに変更するのもあり

また小魚系のワームや虫系の太めのワームを使う場合はオフセットフックサイズが#3/0やワイドタイプも用意しておくと便利です。

キジハタを狙うと他のハタも釣れる




キジハタを狙っていると外道としてアカハタやオオモンハタ、カサゴ、北のほうになるとソイやアイナメ、エゾメバル(ガヤ)等が釣れる場合もあります。
キジハタのワームによる釣り方のまとめ

キジハタは引きも強くロックフィッシュの中でもクエに続く高級魚で味も申し分なしの最高のターゲットです。
基本のワームは甲殻類を模したホッグワーム・クローワームを中心に赤系、緑系、オレンジ系のカラーバリエーションを用意して数種類のシルエットで誘っていくのが肝です。

まだキジハタに出会えていない方にとっては特に
- 流れが効いているポイントを重点に探る
- ワームのローテーションを細かく行う
- シンカーの重さをギリギリの軽さまで調整する
- 底がゴツゴツしているところを狙う
- 潮が動く時間帯や暗い時間を狙う
ということを繰り返していことで私がキジハタに出会えたようにどこかでチャンスが巡ってくるはずなので頑張ってみてください。
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