ケンサキイカはアオリイカと同じようにシーズンによってはエギを使って堤防などから釣れるエギング(ライトエギング)のターゲットの一つです。
もちろんツツイカ系のスルメイカやヤリイカなども同様で沿岸に回遊し接岸するシーズンであればケンサキイカと同じような誘い方で釣れます。
ここではケンサキイカなどのツツイカ系のライトエギングにおいて、アクション(しゃくり)の方法や、釣果に繋がるためのポイント探しのコツ、おすすめのタックルセッティングなどをまとめて紹介していきます。
私は鹿児島の漁師家系の人間で釣りは幼少期からやっています。ただしプロではありません。自分の長年の経験による釣り方やパターンの内容で解説しているので参考程度で見てください。
ケンサキイカの釣果UPのためのポイント探しやコツ
①回遊しやすいポイント
ケンサキイカは沖から浅瀬に寄ってきますが、堤防や磯であっても潮通しが良い場所+流れが効いていることが条件で、そのポイントへエギを投げ込むことで釣れる確率がアップします。
上の堤防を例として、もしも私が釣り場に到着してエギングを開始するならまずこの赤く丸で囲ったポイントから釣りを開始します。
理由としてこのポイントは外海からケンサキイカが真っ先にたどり着きやすく、潮の流れも効いていると考えられます。
よって堤防や港でもケンサキイカが沖から接岸しやすいポイント(場所)でエギングを実践することが、いち早く釣果に繋がる確率が高くなります。
実際にこういった堤防の構造では湾内は船の入口でエギングを行うのも良いですが、よりアタリやヒットが増えるのは外洋に向いた場所です。
またエギングアクションによってケンサキイカが潜んでいるポイントをなんとなく把握する方法は「エギングアクションで潮の強弱を把握する」で紹介しているので参考にしてみてください。
②釣れる時間帯
理由としては天敵となる大型青物などのフィッシュイーターが活動しなくなる時間帯でもあり、ケンサキイカの警戒心が薄れるというのもあります。
漁港の湾内など大型のフィッシュイーターが入ってこないような場所で日中のケンサキイカのエギングが成立するポイントも実際には存在します。ただし夜が圧倒的に釣果を伸ばしやすいのは確かです。
③釣れる潮は?
釣れる潮というのはケンサキイカにかかわらずではありますが、1日の中で潮止まり付近は大きく流れが発生し、急激な活性が上がるので外せない時間帯ではあります。
エギングを実践するのであれば、赤マルで囲った干潮・満潮の潮止まり付近を狙って行くと釣果に繋がる可能性が高いです。
大潮、中潮、小潮などがありますが、大潮から中潮の間や小潮あたりが実際には釣れているイメージもあります。
もちろんそれ以外の潮でも釣れないことはないですが、特に潮止まり直前で流れが発生すると魚やイカの活性が急激に上がりやすく、効率よく狙いに行くならこの潮の動きが発生する時間帯がおすすめできます。
実際に闇夜と満月の日の釣果を比べてみると満月の釣行の方が数も釣れますし、反応も良いと感じました。やはりエギがいつもより見えるようで捕食対象として見られやすいのが要因かもしれません。
ケンサキイカのエギングのアクション(しゃくり方)
ケンサキイカのライトエギングは2〜3回しゃくった後にテンションフォールを5〜10秒行いそれを繰り返して誘っていきます。
ケンサキイカエギングのイメージです
ですのでケンサキイカやヤリイカなどのツツイカ相手であれば通常のエギングよりも1.5倍ほどドラグを緩めておき、腕を大きく振らず手首の軽い動作で小さく「チャッチャッ」っという感覚で軽くしゃくるのが良いです。
反応が薄い場合
そういう時はしゃくりを行った後にリールのベールを開け一気にフリーフォールで数秒落としてみるとその瞬間にケンサキイカがエギを抱いているパターンが多くありました。
この感覚はエギングアクションを繰り返している間に起こる潮の抵抗の変化などを感知して臨機応変に色々変化を加えていくと良いでしょう。
ドラグの効き具合はエギを水中に落としてから高速で巻きっ取ったときにエギの抵抗だけで「ジッジッ」と軽くドラグが出ていくぐらいです。アワセによる身切れも考えると普段のエギングよりもかなり緩めのドラグ設定で良いと思います。
エギングアクションで潮の効いたポイントを把握する
またケンサキイカは潮の流れが強く効いているポイントに群れでいることが多いため、それが釣人の立ち位置から「どの方向」で「どの層」にそれがあるのかを把握し、その場所へエギを通せるかで釣果に大きく響いてきます。
この考えは他の釣りでも同じ考え方でアジングにも似てますが、この潮の効いた層を外れてしまうとケンサキイカは追って来ないので、エギングアクション時にはそのポイントをなるべく外さないように注意してエギを操作する必要があります。
キャストするポイントと層(レンジ)の違い
エギングを実施しているポイントや層が潮の抵抗を感じないのであれば、ケンサキイカがそのポイントには居ない可能性の方が高く、いくらエギで誘ったとしても釣果には繋がりづらいです。
※また上のレンジが潮が効いていることもあれば、ボトム付近が強く流れが効いている場合もあます。
キャストする方向や潮の流れの例
赤い線が潮の流れでこのような状況であれば黄色の◯のポイントに立って流れがぶつかる場所や潮が効いているポイントへ重点的にキャストして探るのが良いです。
潮の強弱を確認する方法
動作による確認方法 | 流れが弱いポイント | 流れが強いポイント |
---|---|---|
しゃくりのアクション | ドラグがあまり出ない | いつもよりドラグが多めに出る |
テンションフォール時 | 穂先(ティップ)の入りが弱い | 穂先(ティップ)の入りが深く重みがある |
フリーフォール時 | 糸がゆっくり出ていく | いつもより糸がパラパラと素早く出ていく |
シャクったときにいつもよりドラグが出る場合やテンションフォール or さびいてアタリをとる際に重みを感じる抵抗を察知して、重みを感じる場所を重点的に攻めるのがより効率的でイカにたどり着く近道です。
潮目などの目に見える変化以外にも海の中では常に流れの強弱が起こっている場所があるので、それらの操作といつもの感覚の違いを感じつつイカがいる場所を把握できるようになると釣果に結びつきやすくなるでしょう。
ヒットした後はゆっくり寄せると別の個体が追尾してくる
ケンサキイカやヤリイカはヒットさせた後は急がずゆっくりと寄せてくれば、他の個体が追尾し、たまに他の個体もそのエギにかかるケースもあります。
この習性を活かし、ヒットさせた1匹目をゆっくり寄せて引き上げた後に、すぐに手前にキャストして追尾してきた個体を狙い数釣りを成立させるということも可能です。
ケンサキイカをたくさん釣りたい方はヒットさせた後の寄せに関してもこの点を意識しながらやっていくとより釣果を上げられる可能性が出てくるので実践してみてほしいです。
ケンサキイカにおすすめのタックル
ケンサキイカなどのツツイカ系のイカはアオリイカやスミイカ(コウイカ)などとは異なり、ショアで釣れる個体はかなり小型です。
そのため普段のアオリイカのエギングとは比べてより繊細な操作や合わせが必要になるので、タックルもそれに見合う軽量で細めのライトタックル寄りのものがおすすめです。
柔らかめのティップが入りやすいロッド
ショアから釣れるケンサキイカやヤリイカは比較的小型でアタリも分かりづらく、アオリイカ用のエギングロッドでMやMHなどの強めのロッドだとそのアタリに気づかないことがあります。
ケンサキイカは1.8号〜2.5号の小型エギを軽快に扱えるブランクスではティップが入りやすいソリッドティップやチューブラでもMLほどの柔らかめのロッドを選ぶとよいです。
また前述も説明しているように、ケンサキイカは潮の流れの強いポイントに溜まることが多く、その場所を把握するためにも本来であれば流れの強弱でティップが入りやすい穂先が柔らかめのロッドのほうが好ましいです。
私がケンサキイカのエギングに使っているエメラルダスMX 711MLM-S
例として使用しているエメラルダスMXの711MLM-Sは穂先は繊細なソリッドティップでMLの柔らかさながら、バット部分はキロ級のイカでも耐えられる強いMのブランクスを兼ね備えている万能なエギングロッドで、8フィート以下の長さで操作性も抜群です。
最近では「バーサタイル(多用途)」という言葉が釣具業界ではよく使われていますが、こういったロッドはエギングだけではなくメバリングや1〜3gを使ったライトゲーム、ちょっとしたエサ釣りなどにも使うことができます。
ツツイカ系のエギングはもちろんですが、エサ釣り、ルアー釣り、エギングなんでも1本化したいという場合にもこのエメラルダスMXの「711MLM-S」は操作性も含めオールマイティーに使えるロッドだと実感しています。
ライトエギングならイチオシの「ソアレBB」
これからロッドを検討している方には価格を抑えつつもライトエギングだけではなく、アジング・メバリング・ライトロックフィッシュなどライトゲーム全般でバーサタイルにロッドがあります。
それが昨年2023年にリニューアルされたソアレBBシリーズのS76L-SとS80L-Sです。
この2機種のロッドはハイレスポンスソリッドを採用し、小刻みな操作に機敏に反応してくれる穂先で掛けはもちろん繊細なあたりや流れの強弱も把握できこの価格帯ではあり得ない性能のロッドとなっています。
7フィート後半から8フィート前半というライトエギングにはちょうど良い長さでありながら重量はわずか75〜82g、ルアーウェイトは最大12〜14gなので2.5号はもちろん3号まではギリOKで、小型のメタルジグ、ジグヘッドワームでの操作にも適しています。
ライトタックルでのエギングは引きが楽しい
同じブランクスで私はソアレSSのS76L-Sを使用していますが、ケンサキイカの他に大きい個体となるアオリイカでも十分対応することができます。※アオリイカの場合はタモが必須です。
イカは根に潜るようなことがないのでゆっくりやり取りすればキロ近いアオリイカでも十分寄せてこれますし、何よりも繊細なアタリを取りやすく通常のエギングロッドよりも引きを楽しむことができます。
ここ数年ではアジング専用やメバリング専用という概念ではなく「ライトゲーム全般で使える万能ロッド」というものが各社から販売されているので、ライトな釣りでエギング以外にも色々やりたいという場合にかなりおすすめの一本だと思います。
ライトエギングにおすすめのリール
普段からアオリイカのエギングを実践しているのであれば、使っている2500〜3000番のリールで十分ですが、より繊細なあたりを取りたい場合やライトゲームタックルで実践したい場合はPE0.3〜0.6号を使うことを想定し1000番〜2000番のリールもおすすめ。
これからリールを入手するならコスパ最強の23レガリスがおすすめ
ケンサキイカに使えるエギ
ケンサキイカはアオリイカと違いあまり目が良くないと言われているため、夜光系などのアピールが高めの派手なエギがおすすめです。
また普段からアオリイカ狙いで使っているエギでもよりは、ライトエギングとなるので1.5号〜2号後半までの大きさのエギができれば好ましいです。
ただ私もツツイカ系専用のエギをわざわざ買うことはなく今までアオリイカのエギングで使用していた小さい号数のエギをそのまま代用して使っています。
もしも3号以下のエギを持っていないなら2.5号のダイソーエギでも釣れます。
昨年の2023年末にダイソーエギは新しくリニューアルされて、そのダイソーエギは110円と格安でありながら前モデルよりもフォールが安定し、実際に使ってみてもフォール時にブレがなくテンションを張ってアタリを待つことができるようになっていました。
新型ダイソーエギ2.5号でケンサキイカ
ケンサキイカ相手であれば軽くシャクってテンションを張ってアタリを待つのは余裕でできますし、とにかくこのエギは釣れます。
また新しいダイソーエギは蓄光ができるように改良され、更にハイアピールでケンサキイカに存在感を知らせることもできます。
私の場合、アオリイカもかかりバラシましたが110円とは思えないポテンシャルを秘めたエギです。数回のケンサキイカ釣行で複数のカラーを試しましたが、ダイソーエギは2.5号のピンクが一番反応がいいと感じました。
実践でケンサキイカの反応が良かったオールマイティなエギ
また私がケンサキイカのライトエギングにおいて、手元にある好きなシリーズ「エギ王」にて反応が良かったエギを紹介します。
エギ王SEARCH ブルームピンキー 2.5号
昨年2023年に新しく発売されたエギ王SEARCH(サーチ)は2.5号ながらなかなかな飛距離が出て、フォール速度も早く、釣り場について最初にケンサキイカの居るポイントをテンポよく探るのには最も適したエギです。
またラトル音と平打ちアクション時のギラツキのフラッシュでいち早くイカに気づいてもらえ、結構このエギ王サーチで最初に釣れたらその後もエギを変えずにそのまま釣れ続けてくれる優秀なエギでもあります。
エギ王K ホタルエビ 2.5号
ケンサキイカはアオリイカよりは視界は広くないと言われていて、夜光系のエギではこのホタルエビがスれているであろうイカにも効果的でなおかつ月夜(満月)の晩には特に反応が良い気がします。
エギ王K ブルーポーション 2.5号
既に先行者がいる場合や色々エギを投げ尽くしたという場合にはやっぱりケイムラ系でなおかつブルー系の馴染むカラーだとイカも違和感を持たずに抱いてくることが多いです。
なぜ1.5号〜2号前半のサイズのエギを使わないの?と思うかもしれませんが、ただ単に私が普段エギングをするならアオリイカをメインでそのエギを沢山もっているからで、どちらにも応用できるサイズ感のエギを使いたいだけです。
もちろんツツイカ系専用の小型エギを使えばもっと釣果がUPしやすいのかもしれませんが、アオリイカも対象としたエギを使っておけば上の層でケンサキイカがヒットし、下を探ればアオリイカがヒットするという経験を何度もしています。
よって私の場合は一回の釣行であわよくば小型イカも大型イカも狙えて、2度美味しいを味わえるのではないかという考えでどちらにも対応できる2.5号をメインで使っている感じです。
ケンサキイカのエギングの時期と地域
ケンサキイカが釣れる時期と各地方のデータをアングラーズのケンサキイカ釣果情報からチェックしてみると以下のようになります。
ケンサキイカが年間で釣れる時期や地域のデータ
釣れる時期は5月〜9月頃までが全盛期となり、上位が神奈川、岩手、宮城と太平洋に面した地域が多く、日本海側では鳥取、島根、福井などが上位の地域となっています。
ちなみに同じツツイカ系となるスルメイカも5月〜7月がハイシーズン、また秋にもちょくちょくと釣果が上がるようです。
私の地域では夏は大型のケンサキイカが3.5号のエギを抱いてきます
ただし場所によっては冬に回遊が多くある地域もあり、私が釣りをよく行う神奈川県では夏に大型、冬は小型の回遊のパターンが多いです。
アオリイカがよく釣れる時期データ
逆にアオリイカはケンサキイカの全国的なシーズンが終了した夏後半から秋、冬にかけて各地では釣れ始めるようです。
ヤリイカが釣れる時期データ
更にヤリイカはケンサキイカとは真逆の厳寒期となる1月〜3月までに釣れることが多くなります。
よってケンサキイカを含め、潮通しが良い場所や釣れるポイントさえ見つけられればイカは年間を通していつでも釣れるターゲットということが分かります。
特に海は毎年環境変化が大きく起きているフィールドではあるので、去年と今年は大きく状況が異なることも多々あります。やはり実際に釣り場に足を運んで情報収集するのも大事です。
【おまけ】ケンサキイカの生態について
ケンサキイカはツツイカ目ヤリイカ科のイカでヤリイカと同じように見られがちですが、ヤリイカが冬によく水揚げされるのに対し、ケンサキイカは夏によく水揚げされます。
左の5匹がケンサキイカ、右の1匹はアオリイカ
ケンサキイカは水産庁のホームページでも詳しい産卵生態がわからないまだ謎が多いイカとも言われています。
また同じケンサキイカでも地域によって形が異なり、九州地方や五島列島ではヤリイカような形をした「ゴトウイカ型」、そして秋冬の時期に現れる「ブドウイカ型」、青森県以南の沿岸で見られる成長しても15cmほどの「メヒカリイカ型」の3種が日本には居るようです。
ケンサキイカの生態について調べているとさかなクンの動画にたどり着きました。
ケンサキイカはヤリイカ、スルメイカのと比べても最も上品で濃厚な味わい、歯ごたえがあります。よってツツイカ系の中では最も高値で取引されているイカです。
ちなみに私の地域では丸イカや赤イカという呼ばれ方をしています。地域によって言い方が変わるのがちょっとややこしいですよね。
イカ類の中ではアオリイカが最高級品として扱われますが、刺身以外の加工や様々な調理を施すのであればケンサキイカが最も万能でどんな調理をしても最も美味しく食べられるイカだと私は実感しています。
イカは冷凍での保存も長く効きますし、エギングで釣れるコツやシチュエーションをマスターすれば最高の食材を手軽にゲットできることになるのでこれからの方はぜひケンサキイカのエギングにチャレンジしてみてください。